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8932f3aa.jpeg東都名所 歌川広重(幽斉書)
大判、横型、錦絵、極印、版元 川口正蔵板
 
浮世絵では都内(江戸)には桜の名所が多く沢山の図が描かれています。庶民にとってお花見は春を待ちわびる気持ちと庶民には数少ない楽しみでもあったのでしょう。
 
目黒の元不二、目白芭蕉庵、亀戸、飛鳥山、王子稲荷、市谷、千駄木、日暮里、、目黒千代の滝、玉川堤、隅田川、上野清水堂、そして先月の御殿山などに描かれています。
 
0f7cd1c9.jpeg今回は隅田川葉桜の景で満開の桜から葉桜と浮世絵では余りない画です。それも夕暮れで花見客もなく茶店も暇を弄びそろそろ仕舞おうかと云うところでしょうか、真ん中のご隠居風の人が何時桜が散ったんだと聞いているんでしょうか。いかだや船も家路に向かっています。そんな寂しそうな光景ですが真ん中に清澄な大きな隅田川を描き、ゆったりと流れていますがそんなに寂しいと言った感じは出ていません。
 
605ebbeb.jpeg7527e07a.jpeg8e2da7c7.jpegこの近くは広重が生まれた近くで何度も生活の中で見てきた光景でしょうか。左上には待乳山の聖天が見えますから隅田川対岸の向島、本所辺りから描かれたのでしょうか。この東都名所は広重が世に認められるシリーズでもありベロ藍と夕日の赤、構図も隅田川の大きさが解るようにまた細部にも細かく丁寧に描かれています。
 
今、隅田川も綺麗になり多くのクルーズや屋形船が浮かんでいますが、この当時はもっと綺麗で澄み切っていて庶民の台所へ上がる貝や小魚が沢山取れた事でしょう。そんな事を思いながら鑑賞しました。

 
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