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東都名所 安藤広重画(幽斉書)

大判、横型、錦絵、極印 版元川口正蔵板、アダチ版画研究所復刻

タイトル 忍ヶ岡蓮  
小林忠氏の解説。

蓮の葉が水面を埋め尽くすほどに繁茂する夏の不忍池。その畔を共のつれた二人の婦女が歩いて行く。寛永寺参拝のついでに中島の弁財天社へでも立ち寄ろうとするのであろうか。空に流れる蛇が身をくねらすような赤い雲と鬱蒼と葉を茂らせた前景の喬樹とが、上空や池面を彩る藍色と共に、暑苦しくもけだるい夏の昼下がりの感じを良く描き伝えている。

喬樹と人物の近景、鳥居から弁天祠にまでのびる中景、そして火の見櫓も見える対岸下谷界隈の遠景と池面をはさんで遠近を三分した空間構成、北斎風に奇をてらうこともなく、自然で親しみやすい構図をつくっている。

15a2a457.jpg 

専門的な解説はそうでしょうが広重ブルーとオーバーでない遠近法を取り入れた画面で奥行きのある風景画になっています。

昼ですから蓮はしぼんでいますが解説の池一面の葉とはなっていない。また葉が一面では絵にならないかも。現実も池一面ではない。しかし、蓮は団子状態でつぼんでいます。もう少しで夕暮れになり涼しい風が湖面を渡ってくるように感じます。

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