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左が庚申供養塔で右は近くの鈴ヶ森で火あぶりになったお七地蔵(大森密厳院)
大田区を歩いていると沢山の庚申塔を見ます。庚申塚、庚申供養塔などと呼ばれています。
庚申信仰は中国の道教の思想に基づく守庚申の習俗で日本では平安時代に宮廷行事として行なわれています。人間の体内には生まれた時から三尸(さんし)の虫がいてこの虫は庚申の日の夜、人が寝ている時に天に昇り天帝にその人の罪科を告げに行く。
天帝はその罪科を聞いてその人の寿命を左右する。三尸の虫はその人が死ねば自由になるので早く死ぬ事を願っている。だからその日は寝ないで三尸の虫が行けない様にするという行事です。
この話に寄せて庚申の日の夜、寝ないで飲食をしたり寄り合いで相談事をするという江戸時代に一般化したようです。一種の民間宗教でありながら娯楽化したものになっていった様で人々は村単位などで講を作り60日に1度回ってくる庚申の日は夕方から当番の家に集まり床の間、仏間に青面金剛の絵像をかけ夜を明かすそうです。
仏教、神道に結びつき「見ざる、聞かざる、言わざる」三猿思想とも結びつき日本全国に伝わった。
庚申の年、1年に7回庚申の日がある7庚申の年、講中の記念すべきことがある年などに現世と来世の安楽を祈願して庚申塔を造立し村々の辻に建てました。
大田区内では98基の庚申塔があり馬込、雪谷、上池上、久が原、鵜の木など台地部に多く平地部は戦災などで散逸したものと考えられるようです。区内の特徴として神道の影響をうけた猿田彦命(さるたひこのみこと)などを刻んだものはなく仏教系のものばかりで1番古いのは寛文元年(1661)の田園調布南の密蔵院の地蔵菩薩立像です。
写真の左側の塔は阿弥陀如来坐像で大田区では2番目に古いものです。石造り舟形の塔で塔身には法界定印の阿弥陀如来の判彫りで全国的にも珍しいそうです。(光背に寛文2年と銘文)
庚申塔には色々な仏像が彫られ地蔵、阿弥陀、観音、釈迦、青面金剛、一猿、三猿二鶏、文字だけ(帝釈天、青面金剛、庚申、南無妙法蓮華経など)があり多いのは青面金剛立像で南関東の特徴とされています。
明治時代には政府から庚申信仰は迷信として街道筋の塚は取り払われたり道路拡張により撤去されたりして現存するのは寺社、私有地へ移転されたものだけのようです。
仏教宗派別ですと真言宗が区内では16ヶ寺、日蓮宗、曹洞宗などは1~2寺ですが日蓮宗系の庚申塔が15基もあり池上本門寺の影響でしょうか。
現在でも講中は存続されているところもあります。昔の1つのレジャーの要素もあり集団での相談事の場でもあったようです。
庚申
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BA%9A%E7%94%B3
三尸とは人間の体内にいる虫で三虫(さんちゅう)とも呼ばれています。上尸、中尸、下尸の三種類で上尸は道士の姿、中尸は獣の姿、下尸は牛の頭に人の足の姿と言われています。
道士は道教を信奉し教義に従って活動する人で男性は乾道(けんとう)女性は坤道(こんどう)と呼ばれる。
簡単に言えばキョンシーの映画に出てくる。
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